数年前、埼玉県行田市の『古代蓮の里』へ行きました。古代蓮とは、原始的な形態を持つ1400年~3000年前の蓮で、埼玉県行田市の”天然記念物”に指定されています。
1970年代、偶然出土した約2000年前の蓮の種子が自然発芽し甦り、池に開花しているのが発見されたそうです。

じつのところ、当時こちらへ行った目的は写真の勉強のためでした。デジタル技術が発展し、もはや写真加工技術が誰でも出来るようになった今となっては、トリミングはもちろん色の変化や合成など自由自在です。しかし、完成した絵画と同じように、光、影、天気、時間、空気感、季節…その瞬間の一期一会を集約した景色を1カットで表現したい、というのが自分のこだわりなのです。絞り、ピント、アングル。この3つの組合せで表現できる世界は無限であり、自分が感じた被写体をどう伝えるかを考えて、試行錯誤のシャッター音を数百回…。

写真は、この日に撮影したお気に入りの1カット、水草に映りこんだ蓮の葉の影です。この写真を見ていただいた方が自由に感じとり、蓮が咲く風景など想像力をふくらませていただけたら嬉しいのです。|C|