2010年5月

2010年05月28日

自然素材と「こころ」「環境」「コスト」。

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写真左:原 成光  写真右:波多野尚樹院長

埼玉県浦和市にある、波多野歯科医院の新たなプロジェクトのお手伝いをさせていただきました。2005年に4階建てのインプラント治療のオペセンターをジョイントセンターが設計させていただいたこともあり、今回もご依頼いただきました。
工事は無事完了し、5月21日に竣工・引渡しを迎える事ができました。プロジェクトに関わってくださったみなさま、本当にお疲れさまでした。「竣工・引渡し式」では、青戸工務店の青戸さんが司会をつとめてくださり、波多野尚樹院長をはじめ、奥さま、波多野歯科医院スタッフのみなさま、ジョイントセンターが勢ぞろいしました。どのプロジェクトでも、工事完了後に必ず「竣工・引渡し式」を行うのですが、私は、「竣工・引渡し式」が本当に好きです。大事に育てた自分の子供を旅立たせるような、清々しくて晴れやかな気分になるからです。そして、今回のきわめつけは、波多野尚樹院長の「100点満点!」というコメントです。このお言葉は、何にも代え難い、ジョイントセンターの活力となりました。

今回のプロジェクトで最も特徴的なのは、自然の材料をたくさん使ったことです。パイン材を床や間仕切りに、オーク材を扉やキャビネットそして桟に。とてもやさしい雰囲気を持つ院内空間になりました。1800年代に、近代看護の神様、ナイチンゲールが、健康的な病院の備える条件として、「病院とは全然似ていないこと」「家庭で暮らすような気持ちにさせること」「より自由で元気のつくような環境」「小住宅風な建物」を提唱していたそうです。自然の材料を使った院内空間は、直接的な治療だけではカバーできない、メンタル面のフォローを可能にします。先人からの「病は気から」という言葉があるように、患者さんのメンタル面のフォローも治療の内という考えは、医院空間づくりには必要不可欠です。
自然の素材を使うことは、他にも良いことがあります。それは、「環境にやさしいこと」「長持ちすること」です。安易に安い素材を使うと耐久性に欠け、修正に伴うゴミが増え、ランニングコストがかかったりします。住宅では常識となった環境に配慮した空間づくりは、これからの医院空間設計にも大いに取り入れる価値があるのだと思います。|O|

2010年05月26日

線が持つ歴史と重み

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先日、代表の原から、「昔の図面を見て勉強しろ!」と一喝され、30年程前の図面を見る機会があったのですが、その時のことをお話します。 

私が入社した当初から、図面は言葉と同じだから丁寧に且つ分かりやすく!!と言われ続け、分かっているつもりでいたのですが、最近になってようやくその真意が少しだけ理解できるようになりました。

図面とは空間の仕上がりを大きく左右する、施工業者さんとの重要なコミュニケーションツールです。
この図面から何十もの業者さんが動き出すので、万人が読み解ける明瞭さが求められるのですが、昔の図面にはどれも共通している点が二つありました。
一つは、"線の一本一本に意味と意図が兼ね備わっていること"。
線の強弱、図面の濃淡、文字のレイアウト、ディティールの詰めなど全てに配慮されていました。
二つ目は、"追求された分かりやすさ"。
図面には平面図から始まり、天井伏図や展開図など種類がいくつもありますが、どの図面も何を一番に伝えたいかがパッと見てすぐに分かります。
それらが、全て揃って初めて"分かりやすい図面"になることが分かったのと同時に、伝えるということの難しさ、図面の奥深さを痛感しました。

パソコンを使えば片手で簡単にまっすぐな線が引け、一瞬で一面を塗り潰すことも出来ますが、その便利さに慣れ、大事なことが見えていなかったように思います。
先輩方の描いた図面を通じてジョイントセンターの歴史と重みを改めて感じました。|+|

2010年05月18日

竣工写真撮影

先日、某雑誌の掲載の為、昨年ジョイントセンターがデザインした福島県の「かどすみ歯科医院」
へ写真撮影に行ってきました。カメラマンは、建築・空間写真において著名な白鳥美雄さん。
ジョイントセンターの空間を40年近くに渡り撮り続けていただいています。

撮影に立ち会う時は、いつも勉強になる事がたくさんあります。
空間を見た瞬間に、その空間の何を伝えるべきかを判断し、アングルを決めていく感覚。
決めたアングルを最大限、美しく見せる為のこだわり。(ブラインドのコードの歪みまで見逃しません)
撮影された写真は、いつもシンプルで簡潔です。伝えたい主題のみを明確にし、余計な演出はしません。

1日で何枚ものカットを撮っていく写真と、数ヶ月〜年単位で創り上げていく空間。
時間の尺度やジャンルは違っても、考え方やプロセスは皆同じだという事をつくづく考えさせられました。
早朝から、夜に渡る撮影本当にお疲れさまでした。

また、撮影にご協力頂いた廉隅先生、休日にも関わらず有難うございました。
竣工当初から変わっていないのでは?と思う程、医院を奇麗に保っていただいていました。
先生の「素敵な医院を創ってもらったので、掃除やメンテナンスは気を遣っているんですよ。」
という言葉にとても嬉しい気持ちになりました。
様々なドラマと共に、先生の手でこれから更に豊かな空間に育てていただければと思います。

今回撮影した写真が掲載されましたら、またジョイントセンターHPでお伝えしたいと思っています。
どうぞ、お楽しみに。|Y|

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2010年05月07日

木の持つ優しさ

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(ソメイヨシノ)

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(シマトネリコ)

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玄関ポーチ(ソメイヨシノ)

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中庭(シマトネリコ)


先月竣工した東京(広尾)の住宅で、植栽を選定するためにお施主さんと関係者で郊外の植林畑を
何カ所か視察して回ったことをお話しします。

当日は雲一つない快晴で、植栽選びには絶好の日和と成り本当にラッキーでした。もし雨が降ってい
たら靴が泥に埋まっていたかもしれません。
事前に決めていた樹種は、ソメイヨシノ、シマトネリコ、エゴの木でしたので、ルートを決めて順に回ることになりました。お施主さんの希望に、毎年桜の花を見ながら季節を感じたいとの思いがあり、初めにソメイヨシノの畑を視察に行きました。あまり大きな枝振りのものがなく少し心配になりましたが、逆に成長を楽しみにできる期待は持てました。また、お施主さんから今回選んだ桜が、まだ小さいので今年花を咲かせることが出来るか心配していましたが、植栽屋さんが必ず咲きますよと言った通りけなげに花を咲かせ感激です。

次に、中庭に予定しているシマトネリコを選定に行きましたが今度は小さめですが枝振りの良いものが見つかり安心しました。シマトネリコは常緑広葉樹で、6〜7月に白い花が咲き、9〜10月に実が成り、葉が明るい緑色をしていて、さわやかな印象がある木です。中庭に面したどの部屋からも景観を楽しめるよう考え配置しています。

そんな形で、建物の外観や周囲の状況、バランスを考慮してようやく相性の良さそうな木々が決まりほっとしました。自然の持つ優しさや生命力が、人や建物に活力や癒しを与えてくれることと思います。今はまだ小さな枝振りですが、時とともに成長していく姿は、きっと住み手の建物に対する愛着と思い出を育んでくれる存在に成ってくれると思います。
これからも、竣工した住宅のアフターケアを含め、お施主さんからの要望に全力で応えていきたい
と思います。|N|

2010年05月01日

先端科学とインテリアデザインの融合

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第16回 2010年度ゴールド・メダル「東京テクノ・フォーラム21賞」 受賞の方々(中央が藤井直敬さん)

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東京テクノ・フォーラム21(先端科学技術研究交流の場として発足された、読売新聞社系組織)>>の第16回 2010年度ゴールド・メダル「東京テクノ・フォーラム21賞」が発表され、独立行政法人 理化学研究所 脳科学総合研究センター 適応知性研究チームリーダーの藤井直敬さん>>が受賞されました。藤井さんは、執筆された書籍『つながる脳』(NTT出版)が、第63回毎日出版文化賞を受賞されるなど、脳科学の分野で精力的にご活躍されていらっしゃる方です。(その他受賞者は、村上春樹さん『1Q84(BOOK1・2)』や山崎豊子さん『運命の人(全4巻)』など)
2008年に、藤井さんが所属されているオフィスを、ジョイントセンターが設計させていただきました。ジョイントセンターがデザインしたオフィスのなかで行われた研究が、受賞されたことを、とても名誉なことだと感じております。本当に、おめでとうございます!!
藤井さんが今回受賞された研究テーマは、「新たなBMIによる社会的脳機能解明のための先駆的研究」です。どのような内容かといいますと、脳を外部の機器とつないで、脳から発信された信号を、機器に伝える技術をBMI(ブレーン・マシン・インターフェース)と言い、「本が読みたい」と思ったら、ロボットが本棚から本を持って来てくれる、というように映画の世界で観たような出来事を可能にする技術のことだそうです。BMI技術は主に2種類あり、手術をして脳に電極を差し入れる「侵襲型」と頭皮に電極を付ける「非侵襲型」で、前者はアメリカで研究が盛んであるのに対し、後者は日本で主流となっています。手術という危険が伴うけれど高精度な「侵襲型」に日本独自の工夫で安全性を高めた功績が受賞となったそうです。
自分の意思で機械を動かすことができると、首から下が麻痺したひとでも生活に必要な動作をしたり、危険を伴う工場や高所での作業を容易にしたり、多くの場面で数々の可能性が広がります。目が不自由なひとの脳に画像の信号を送って視覚を生み出す技術の開発も視野に入れているとのとで、なんとも凄い技術だと感動してしまいました。
「こうしたい」とか「こうだったらいいのに」とかいうことは、設計においてもしばしばあります。そのようなときに、自分の意思で環境を変えることができたら...。例えば、クリニックの設計ですと、クリニックの衛生士さんたちのそれぞれの身長に合った作業環境が求められます。もし、衛生士さんの両手がふさがっていても瞬時に棚の高さや石膏ボックスの角度が微調整できたら、非常に便利でしょう。BMIという、この素晴らしい技術とインテリアデザインの融合が実現し、さらなる発展を遂げることを願っています。|C|
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